除湿機は、コンプレッサー式とデシカント式の2種類がありますが、それぞれ除湿方式がまったく違うので、はじめて除湿機を買う方はどちらを買うか迷われると思います。
また、湿度の高い日本の家庭用除湿機には必ず「衣類乾燥機能」が備わっているので、「除湿能力を優先するのか」「洗濯物の乾きやすさを優先するのか」で選ぶべき除湿機が違ってきます。
この記事では、そんな除湿機のコンプレッサー式とデシカント式について、電気代や除湿の仕組み、メリット・デメリットを解説したいと思います。
目次 [非表示]
コンプレッサー式除湿機とデシカント式除湿機の違い
除湿の仕組みについて、ものすごく簡単に違いを解説すると、コンプレッサー式は『空気を冷やして湿気を水に変える』除湿機で、デシカント式は『除湿材に湿気を吸わせる』除湿機です。
コンプレッサー式除湿機は、冷蔵庫と同じ仕組みで冷媒をコンプレッサーで循環して空気を冷やしているので「室温を上げることなく、湿度を下げる」ことができます。
一方、デシカント式除湿機は、湿気を吸った除湿剤をヒーターで温めて水蒸気を作り熱交換器で水に戻しているので「室温を上げながら、湿度を下げる」ことができます。
次の見出しからは「もっと詳しく知りたい」という方向けに除湿方式別の詳しい仕組みを解説しておりますが、「仕組みよりも、メリット・デメリットがどう違うのか知りたい」という方はページ下部の解説をご覧ください。
- 【除湿方式ごとのメリット・デメリットの解説もくじ】
- ・コンプレッサー式除湿機のメリット・デメリット
- ・デシカント式除湿機のメリット・デメリット
コンプレッサー式除湿機の仕組み
コンプレッサー式の除湿機には、名前の通り「コンプレッサー」と呼ばれる装置がついています。
コンプレッサーは、「冷媒(主にフロン)」を循環させ、空気中の水分を冷却・凝縮させることで水に変化させ、部屋の湿度を下げます。
もっと原理を詳しく説明すると、空気が冷えると空気中の飽和水蒸気量が少なくなり、飽和水蒸気量を超えた水蒸気が液体の水に変化することで空気中の水分が減り、湿度が下がる仕組みです。
ちなみに、冷蔵庫の裏側にある受け皿に排水が溜まる仕組みや、エアコンのドレンホースから水が出るのも、このコンプレッサー式除湿機と同じ仕組みです。
気温が低いと除湿能力は大きく下がる
コンプレッサー式除湿機は、「空気を冷やす」ことで除湿をするので、「もともとの気温が低い」と除湿能力は大きく下がります。
梅雨や夏のように「気温も湿度も高い」のであればコンプレッサー式除湿機が役立ちますが、冬場のようにもともとの気温が低いと除湿がほとんどできません。
基本的に冬場は除湿する必要性自体低いですが、「衣類を乾かすために除湿したい」と考えている場合はデシカント式を選んだ方がいいでしょう。
デシカント(ゼオライト)式除湿機の仕組み
デシカント式除湿機には、主に「除湿材(乾燥材)」と「ヒーター・熱交換器」がついています。
空気中の水分を除湿材で吸湿し、ヒーターの熱風で除湿剤に吸湿した水を水蒸気に変換させ、熱交換器で水蒸気を冷やすことで液体の水に戻すことで、湿度が下がる仕組みです。
デシカント式除湿機は「ゼオライト式」と呼ばれることもありますが、デシカントは空調設備に使う除湿材(乾燥材)の通称のようなもので、ゼオライトは除湿材の種類なので機能的な違いはありません。
コンプレッサー式とデシカント式はどっちが除湿能力が高い?
コンプレッサー式とデシカント式の単純な除湿能力を比較すれば、「デシカント式」の方が除湿能力は高いと言えます。
ただし、「梅雨、夏場の気温と湿度が高い時期」の除湿能力だけ見れば、そのときの湿度・温度によりますがコンプレッサー式の方除湿能力が高くなることもあります。
この説明で「よし、梅雨の除湿がしたいだけだから、コンプレッサー式を買おう!」と思われた方もいらっしゃると思いますが、「冷房を入れているときはデシカント式の方が除湿能力が高く」なります。
このように、除湿機は除湿方式と湿度・温度によって性能が変化する特殊な家電ですので、「どっちを選んだらいいか迷う」方がたくさんいらっしゃいます。
ページ下部では「どっちを選んだらいいかわからない」という方に向けて、除湿方式別にメリット・デメリットや人気の除湿機をご紹介していますので迷われている方はチェックしてみてください。
- 【どっちを買うか迷っている方向け】
- ・除湿機はコンプレッサー式とデシカント式どっちを買うのがいい?
除湿機のコンプレッサー式とデシカント式の電気代はどっちが高い?
電気代が高騰している昨今、「家電製品の電気代」を気にされる方も増えていらっしゃいます。
先に答えだけ申し上げると、除湿機は「デシカント式」の方が消費電力・電気代は高いです。
結論は出ていますが。「もっと詳しく電気代を知りたい」「電気代が高いだけのメリットがあるのか知りたい」という方もいらっしゃると思いますので、次の見出しより詳しく解説したいと思います。
コンプレッサー式とデシカント式の1時間あたりの電気代
使う製品や電気料金設定によって、消費電力・電気代は異なりますが、大体の目安があるのでご紹介します。
まず、空気を冷却して除湿する「コンプレッサー式除湿機」の場合は、消費電力は約200W程度で、1時間あたりの電気代は約6.2円程度が目安です。
一方、ヒーターを使う「デシカント式除湿機」の場合は、消費電力は約1,220W程度で、1時間あたりの電気代は約39円程度が目安になっています。
ただし、どちらもずっと同じ消費電力のまま使った場合の試算ですので、「自動運転でスリープモードや弱運転になる」「エコ運転モードがある」などの場合は目安よりも安くなります。
本体価格はコンプレッサー式もデシカント式もほとんど変わらない
「コンプレッサー式って冷蔵庫やエアコンと同じ装置がついているから、なんか高そう」や「デシカント式なんて、ヒーターで動いてんだから安いでしょ」と思われる方もいらっしゃいます。
が、実はコンプレッサー式もデシカント式も同じ除湿能力(〇畳・1時間あたり〇L除湿など)であれば、価格差はほとんどありません。
たまに「贈り物であげるから、高級なものが欲しい」という素敵な方(家電量販店にとって)もいらっしゃいますが、『価格差が出るのは大手メーカーの人気シリーズかどうか』だけです。
なので、除湿方式については「どんな場所やどんな悩みで除湿機を欲しいのか」を吟味して選ぶ必要があります。
「どっちを選んだらいいかわからない」という方は、次の見出しでメリット・デメリットや除湿方式別のイチオシの除湿機をご紹介していますのでチェックしてみてください。
除湿機はコンプレッサー式とデシカント式どっちを買うのがいい?
コンプレッサー式とデシカント式の除湿の仕組みや電気代の違いなどについて解説しましたが、「結局、どっちを買ったらいいか分からない」という方もいらっしゃると思います。
そこでここでは、それぞれの除湿機の「メリット・デメリット」をもとに「どっちを買うのがいいか」や「おすすめの機種」について解説いたします。
- 【除湿方式ごとのメリット・デメリットの解説もくじ】
- ・コンプレッサー式除湿機のメリット・デメリット
- ・デシカント式除湿機のメリット・デメリット
コンプレッサー式除湿機のメリット・デメリット
コンプレッサー式除湿機は、「部屋の温度を上げずに、湿度を下げたい」という人におすすめです。
コンプレッサー式除湿機は、ヒーターを使っていないので『部屋の温度を上げずに湿度を下げられる』のが大きなメリットになっています。
メリット | デメリット |
・夏場とくに梅雨の除湿に強い ・消費電力が少ない ・部屋が暑くならない |
・気温が低いと除湿能力が落ちる ・衣類乾燥能力は低い |
一方で、「気温が低いと除湿能力が落ちる」「温風が出ないので衣類乾燥能力が低い」といったデメリットがあります。
そのため、「夏場は冷房をガンガン効かせる人(設定温度が24℃以下)」「梅雨の部屋干しで、洗濯物をしっかり乾かしたい人」という人はデシカント式除湿機がおすすめです。
コンプレッサー式でおすすめの除湿機
コンプレッサー式の衣類乾燥除湿機なら、「シャープ 衣類乾燥除湿機 CV-N71-W」がおすすめです。
シャープの特許技術である『プラズマクラスター』が搭載されており、コンプレッサー式の「洗濯物が乾きづらい→生乾き臭がする」というデメリットを軽減することができます。
また、梅雨時の「湿気臭」「部屋のニオイ」対策にもプラズマクラスターが役立ちますので、『梅雨の湿気とニオイ対策』を重視されたい方におすすめです。
もちろん、衣類乾燥で出てくる風も「冷風(室温)」なので部屋が暑くなることもありません。
デシカント式除湿機のメリット・デメリット
デシカント式除湿機は、「冷房がガンガン効いてる部屋でも、気温の低い冬でもしっかり除湿したい」「洗濯物をしっかり乾かしたい」という人におすすめです。
デシカント式除湿機は、気温が低くてもヒーターを使って空気を温めて除湿でき、排出される風も温かいので『洗濯物を早く乾かせる』というのが大きなメリットになっています。
メリット | デメリット |
・夏も冬も安定して除湿できる ・洗濯物が早く乾かせる |
・部屋が暑くなる ・消費電力が多い |
一方で、「温風が出てくるので、部屋が暑くなる」「消費電力が多いので、電気代が高くなる」といったデメリットがあります。
そのため「夏でも部屋の室温は28℃くらい」「洗濯物はドラム式洗濯機で乾燥する」といった人は、コンプレッサー式除湿機がおすすめです。
デシカント式でおすすめの除湿機
デシカント方式の衣類乾燥除湿機なら、「パナソニック 衣類乾燥除湿機 F-YZVX60-C」がおすすめです。
デシカント式なので、夏場でも冬場でもしっかり除湿することができ、衣類乾燥で出てくる風は『温風』なので濡れた衣類をしっかり乾かすことができます。
また、『除湿モードと衣類乾燥モードの切り替え』が可能なので、「消費電力が多い」というデシカント式のデメリットへの対策もバッチリされています。
除湿機のコンプレッサー式とデシカント式の違いまとめ
色々と細かく解説いたしましたが、「コンプレッサー式は、室温を上げずに除湿できる」「デシカント式は、洗濯物が早く乾かせる」ということだけ覚えておけば大失敗することはないでしょう。
本体価格についても、コンプレッサー式とデシカント式で価格差はないので、「自分の目的に合った」方を選ばれることをおすすめいたします。