「冷蔵庫が冷えない」「運転音はするけど、何だかぬるい」
上記のように、冷蔵庫が冷えないトラブルに遭遇した場合、「どうしたらいいのか分からない」という人は多いと思います。
慌てて修理業者などに依頼して高額な修理料金を支払われる方もいらっしゃいますが、一旦落ち着いて冷えない原因をチェックしてみてましょう。
この記事では、冷蔵庫が冷えない原因とチェックポイント、自分でできる対処法をご紹介いたします。
冷蔵庫が冷えない7つの原因
冷蔵庫が冷えない原因は、ざっくりわけて7つあります。
いきなり原因を紹介してもいいですが、「冷媒」「コンプレッサー」など、専門用語でないと説明が難しいものもあります。
そこでまずは、「冷蔵庫が冷える仕組み」から解説し、その後で冷蔵庫が冷えない7つの原因を紹介したいと思います。
冷蔵庫が冷える仕組みとは
- 【冷蔵庫が冷える仕組み】
- 1.冷媒をコンプレッサー(圧縮器)で圧縮し、高温・高圧の気体にする。
- 2.気体になった冷媒がコンデンサー(凝縮器)を通る際に、熱を庫外に排出し、中温・高圧の液体になる。
- 3.液体になった冷媒を蒸発器で低温・低圧の気体に戻す際に、冷気が発生する。
- 4.発生した冷気をファンを使って、冷蔵庫内へ流しいれることで、庫内が冷える。
- ※冷媒は、再度コンプレッサーを通って、1~4の工程を循環します。
冷蔵庫が冷えるには、「コンプレッサー(圧縮器)の稼働、庫外への放熱、庫内での冷気の循環が正常にできないといけない」ということだけ理解すれば大丈夫です。
もっと具体的な症状で原因を知りたい方向けに「冷えない原因」の解説もいたしますが、「チェックポイントだけ知りたい」という方はページ下部をご覧ください。
冷えない原因1.冷蔵庫の電源が入っていない
「コンセントは差さっているんだから、電源は入っているに決まっているだろう!〇〇が!」
上記は冷蔵庫が冷えないという方から、実際に言われた言葉ですが、この方の場合「電源タップが故障して、電源が入っていない」ことが冷蔵庫が冷えない原因でした。
- 【コンセントが差さっていても電源が入らない理由】
- ・電源タップの故障
- ・ブレーカーが落ちている
- ・コンセント本体の破損
- ・冷蔵庫の配線ショート
上記のように、コンセントが差さっていても電源が入らなくなる原因は色々とあります。
特に多いのが、「電源タップの故障」と「ブレーカーが落ちている」です。
電源タップの故障とブレーカーは要チェック
複数の家電に電力供給ができるようになる電源タップは、落雷や漏電、経年劣化で故障すると電源の供給ができなくなります。
そのため、電源タップを使われている方は、一旦コンセント本体に電源を差し込んで冷蔵庫に電源が入らないかチェックしてみましょう。
また、「冷蔵庫」のブレーカーは単体で独立していることが多いので、冷蔵庫のブレーカーだけ落ちていないかもよく確認しておきましょう。
冷えない原因2.冷蔵庫の温度設定ミス
「冷蔵庫の温度設定ごときで、冷えなくなるわけないだろうが!詳しいやつに変われ!」
上記も冷蔵庫が冷えないという方から、実際に言われた言葉ですが、この方の場合は「温度設定が『冬用(弱め)』」になっていたことが原因でした。
1人暮らし用やお手頃価格の冷蔵庫の場合は、庫内のレバーで温度調整が「弱め・冬用」になっていないか確認しましょう。
また、タッチパネルの場合は「温度設定ボタン」を押して、パネルに表示されている設定が「弱め・冬用」になっていないか確認しましょう。
冷えない原因3.冷蔵庫内で冷気が循環していない
冷蔵庫内にパンパンに食べ物や飲み物を詰め込んでいると、冷気が庫内を循環できなくなります。
冷蔵庫内の冷気は上部または下部の一方から、ファンを使って庫内を循環するようになっています。
そのため、「パンパンに物を詰め込む」「ファン(送風口)が霜で凍っている」と運転が正常でも、冷蔵庫内が冷えなくなります。
詰め込み具合や送風口の霜については、ページ下部で詳しく解説しています。
冷えない原因4.冷蔵庫のドアパッキンの劣化
冷蔵庫のドアには、冷気が漏れないようにする「ゴムパッキン」が取り付けられています。
このゴムパッキンが劣化すると、庫内の冷気が漏れてしまい、冷蔵庫内が冷えなくなります。
「劣化の判断基準」については、ページ下部のチェックポイントで解説しています。
冷えない原因5.冷蔵庫の冷却装置の劣化
冷蔵庫が冷える仕組みの説明でも解説しましたが、「冷却装置」が劣化・故障していると冷蔵庫が冷えなくなります。
コンデンサーや蒸発器については、内部を分解してチェックしないといけないので、個人では確認することができません。
ただ、「コンプレッサー」については故障しているかどうかを調べる方法があるのでページ下部で解説いたします。
冷えない原因6.放熱スペースが取れていない
意外と知られていないのが、「放熱スペース」の確保です。
冷蔵庫が冷える仕組みでご紹介したように、冷媒から「熱を放出する」過程があるのですが、その放出のために必要になるのが「放熱スペース」です。
説明が長くなってしまいますので、こちらもページ下部で解説いたします。
冷えない原因7.直射日光が当たっている
デザイン重視のお家の冷蔵庫が冷えないトラブルで多いのが、「直射日光が当たっている」です。
「放熱スペースが取れていない」と同じ要因ですが、直射日光が冷蔵庫に当たると冷媒の熱放出が上手くいかなくなり、冷蔵庫が冷えなくなります。
直射日光が当たっているかどうかは目で見たら分かると思いますので、ページ下部では簡単にできる対策をご紹介します。
冷蔵庫が冷えない・10℃以下にならないときのチェックポイントと対処法
「とにかく、冷えない原因と対処法だけ知りたい」という方に向けて、チェックポイントと対処法をご紹介します。
上から順番にチェックしていってもいいですが、「これかもしれない・・」という心当たりがある方は、下記目次からチェックしてみてください。
冷蔵庫のコンセント・ブレーカーをチェック
最初に、「ブレーカー」が落ちていないかチェックしておきましょう。
次にブレーカーが落ちていなければ、下記コンセントのチェックポイントを確認してみてください。
- 【コンセントのチェックポイント】
- 1.電源タップから差し込みプラグを外して、コンセント本体に差し込む。
- 2.コンセント本体に差し込んでも電源が入らない場合は、スマホ充電器を差して充電ができるか確認。
- 3.スマホの充電もできない場合は、コンセント本体の故障の可能性が高い。
- 4.スマホの充電ができる場合は、電源タップを別のコンセント本体に繋げてから、スマホの充電器を差し込む。
- 5.スマホの充電ができないなら電源タップの故障、スマホの充電ができるなら電源以外が原因。
コンセント本体の故障の可能性があれば、お近くの電気修理業者に点検と修理を依頼しましょう。
コンセント本体も電源タップも問題がない場合は、他のチェックポイントを確認してみましょう。
庫内ライトが点灯しておらず・冷えもしない場合
電源タップ・コンセント本体が正常なのに、庫内ライトが点灯しておらず、冷えもしていない場合は、冷蔵庫本体の電気系統の故障の可能性があります。
このような場合は、冷蔵庫のメーカーサポートの窓口に連絡してみましょう。
ただ、製造から6年以上経過している場合は、耐用年数、いわゆる『寿命』ですので、交換を検討した方がいいでしょう。
冷蔵庫のコンプレッサーは故障していないか
電源の次は、「コンプレッサー」が故障していないか確認してみましょう。
本当に故障しているかどうかのチェックは業者でないと難しいですが、下記のような症状があればコンプレッサー故障の可能性があります。
- 【コンプレッサー故障の症状】
- ・庫内温度が高いのに「稼働音」が聞こえない
- ・送風口のファンは動いているのに「冷たい風」が出ない
- ※コンプレッサーは、絶対に触らないように注意してください。
冷蔵庫を開けっ放しにしているのに、「ファンが動いているけれど送風口から冷気が出ない」ときはコンプレッサー故障の可能性が高いでしょう。
コンプレッサーの修理は新品部品交換となりますが、コンプレッサーは部品代が非常に高価で、新品の冷蔵庫が買えるほどの価格です。
業務用や輸入品以外の一般家庭用冷蔵庫であれば、修理よりも買い替えを検討した方がいいでしょう。
冷蔵庫のゴムパッキンがひび割れていないか
冷蔵庫ドアに取り付けられている「ゴムパッキン」も、劣化します。
- 【ゴムパッキンの劣化チェック】
- ・表面にひび割れが入っている
- ・表面がかさかさしていて押すと小さい網目が出る
- ・触ると手に粉がつく
上記のような症状があれば、メーカーサポートに連絡してゴムパッキンの交換をした方がいいでしょう。
コンプレッサー修理は高額なので買い替え推奨ですが、メーカー修理によるゴムパッキン交換であれば、買い替えるよりもお得です。
冷蔵庫の温度設定は「弱め」になっていないか
冷蔵庫によって表記設定が異なりますが、「弱め(微)」「低」「冬用」などの設定になっていないかチェックしましょう。
タッチパネルの場合は、運転設定を「高または中」に変更。庫内ツマミの場合は、ツマミを「高または中」の方向に移動させましょう。
もしも、高に設定して「食品が凍る」ようなことがあれば、中に変更するといいでしょう。
冷蔵庫にパンパンに詰め込んでいないか
冷蔵庫内にパンパンに物を詰め込んでいると冷気が循環しなくなります。
また、SNSで紹介されている「きれいな収納のコツ」でよく使われる「プラスチックケース」も、使いすぎると冷気循環の邪魔になります。
冷蔵庫内に入れるものは「7割くらい」を目安にし、「送風口前は特にスペースを空ける」ようにしておくといいでしょう。
冷蔵庫の送風口に霜がついていないか
冷蔵庫の送風口に霜(氷)がついていると、冷気が庫内に入ってこず、冷えない原因になります。
もしも、送風口に霜がついていれば下記手順で霜取りと温度変更をしてみましょう。
- 【送風口の霜取りと温度変更】
- 1.大きい氷は、ヘラやマイナスドライバーでちょっとずつ削る。
- 2.氷が小さくなったら、50℃のお湯を固く絞った布巾で氷を拭いて溶かす。
- 3.氷がなくなったら、乾いた布巾で乾拭きする。
- 4.温度設定を一段階下げる(高→中、中→低の具合)
- ※お湯を使う際は、ゴム手袋を着用しましょう。
ヘラやマイナスドライバーを使う際は、送風口を傷つけないように、優しく・ちょっとずつ削るように注意しましょう。
また、50℃のお湯を扱う際は、ゴム手袋をして火傷しないように注意しましょう。
冷蔵庫の放熱スペースはしっかり取れているか
冷蔵庫が冷える過程で熱を放出する過程がありますが、その放出のために必要なスペースが「放熱スペース」です。
もっと簡単に説明すると、「冷蔵庫の上・側面に、製品ごとに決められたスペースを空ける」必要があるということです。
必要な放熱スペースについては製品によって変わりますが、大体「上5~10cm、左右・背面1~3cm」の隙間が空いていれば大丈夫です。
耐熱天板があるなら上に電子レンジを置いても大丈夫
「冷蔵庫の天板に『耐熱仕様』って書いてあるけど、それでも上に物を置いたらだめなの?」と疑問に思われる方もいらっしゃると思います。
「耐熱仕様」と書かれていれば、電子レンジなどを置いても大丈夫ですが、放熱効率が落ちて電気代高騰の原因になることがあります。
また、夏場の冷房をつけていない時間帯なども冷蔵庫の放熱効率を大きく下げることになるので、できる限り冷蔵庫の上には物は置かない方がいいでしょう。
冷蔵庫に直射日光が当たっていないか
放熱スペースがきちんと取れていても、「直射日光」が冷蔵庫に当たっていると、冷媒が冷えずきれず、庫内が冷えないトラブルに繋がります。
直射日光が冷蔵庫に当たってしまう場合は、窓に「遮熱フィルム」を貼るかカーテンを閉めるなどの対策をするといいでしょう。
窓用フィルムには「目隠しフィルム」「紫外線カットフィルム」などがありますが、「遮熱」または「断熱」を選ぶようにしましょう。
冷蔵庫は処分よりも買い替え時の下取りがおすすめ
「冷蔵庫が壊れたらから、新しいのに買い替えなきゃ・・・」という場合、不用品回収業者を使うと無駄なお金を使うことになります。
もちろん、「明日・明後日にすぐ捨てたい」という場合は不用品回収業者が便利ですが、そうでないなら別の方法で処分した方がお得です。
ここでは、買い替えをする場合と、完全に処分をする場合のお得な冷蔵庫の処分方法をご紹介します。
冷蔵庫の買い替えなら「無料引き取り」か「下取り」が基本
「壊れた冷蔵庫を新しい冷蔵庫に買い替える」という場合は、購入店舗の「無料引き取り」か「下取りサービス」を使うのがおすすめです。
基本的に買い替え時には、購入店舗に引き取り料金(リサイクル料金)を支払って、古い冷蔵庫を引き取ってもらいます。
ただし、「セール時期」になると「買い替え時の引き取り無料!」「下取り実施中!!」などのように、引き取り無料もしくは1~2万円くらいの下取りをしてもらえることがあります。
常時やっているサービスではありませんが、冷蔵庫を買い替えるときは上記のようなセール時期を狙うとお得に古い冷蔵庫を処分できます。
冷蔵庫の処分は不用品回収業者よりも「家電量販店」が安い
「セール時期じゃないし、知り合いから古い冷蔵庫を譲ってもらうから、処分だけしたい」という場合。
このような場合は、「家電量販店の大型家電リサイクル(回収)」を使うのがいいでしょう。
冷蔵庫を買った店舗でなくても、店舗に連絡して所定の料金を払えば冷蔵庫を回収してくれます。
量販店によって料金設定は異なりますが、不用品回収業者に依頼するよりも明らかに安いので、一度お近くの家電量販店に聞いてみてはいかがでしょうか。